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公的断食施設 五色県民健康村健康道場

電話でお問い合わせはTEL.0799-33-0535

読売新聞(4回)

断食してみた

(1)公的な専門「道場」で挑戦

 記者(36)は太っている。深夜の飲食、運動嫌いがたたり、就職してから12年で増えた体重は13キロ。

 おからクッキーから、炭水化物抜き、油ぬるぬるもみ出しエステまで数多くのダイエットを試しては、食欲の誘惑に負けて、リバウンドを繰り返してきた。

 そんな長年の経験から学んだのは、「食べなきゃやせる」という黄金の法則だ。しかし、ダイエットでは空腹との戦いが一番難しい。唯一手を出せずにいたのが断食だったが、生活習慣病も気になる年頃、断食道場への入門を決めた。


特製ジュースを飲む記者
5泊6日でお世話になったのは、兵庫県・淡路島にある「五色(ごしき)県民健康村健康道場」。1982年に県と旧五色町(洲本市)が作った国内唯一の公的な断食の専門施設だ。長年断食を研究してきた内科医、笹田信五道場長(61)が常駐する。

 ここでの毎日は極めて規則正しかった。朝は7時前に起き、体重や血圧、脈拍などを自分で測って記録する。自己管理の癖を付けるためで、面倒なようだが、体重見たさに早起きが楽しみになった。

 断食中でも、低脂肪乳で作った100キロ・カロリーの特製ジュース(約300cc)だけ3食飲める。バナナやパイナップルでうっすら甘みも付き、入所中1度も空腹感に苦しまなかったのは意外だった。

 朝食後と午後の2回、回診で健康状態をチェックしてもらい、入浴後は午後10時に消灯。その間に、太極拳の動きをとり入れた体操や呼吸法、ストレス解決のための講義があり、自由参加ながら、ほとんどの人が顔を出していた。

 空いた時間は、海が見渡せる中庭の林を散歩したり、道場が貸し出す映画のDVDを部屋で寝そべって見たりした。仕事や家族から離れ、自分自身のためだけにゆっくりと時間が流れていた。(岩永直子)

(2009年11月17日 読売新聞)



断食してみた

(2)生命力を高める効果

 兵庫県洲本市の「五色(ごしき)県民健康村健康道場」で断食を始めて2日目頃から、体調の変化に気づき始めた。常にボーッとして、仕事の本を読む気がしない。メモを取るのもおっくう。低血糖の影響だ。

 3日目の朝には、頭と体の痛みで目が覚めた。回診に来た道場長に相談すると、毎朝の検尿結果を見て、「代謝が急激に変化しているからですね。安定すれば楽になりますよ」と、正常な反応であることを説明してくれた。

 断食中は、本人はのんびり過ごしているつもりでも、体は生命を維持するための機能を総動員している。例えば、脳に必要な糖分は断食後半日で尽きる が、盛んに分泌される副腎皮質ホルモンが筋肉から作り出す。そのほかの臓器に必要なエネルギーは、自律神経系が働き、おなかに蓄えた脂肪を分解して確保す る。

 感受性も強まった。体が楽になった翌朝、毎日見ていた中庭の針葉樹に実がなっていることに初めて気づく。木漏れ日に感動し、映画にやたらと泣けた。日常のストレスから離れた影響もあるが、断食が進むとモルヒネ作用のあるホルモンが上昇し、爽快(そうかい)感が得られるのだという。

 一時的に栄養を断つことで、自身の持つ生命力を活性化させ、心身を健康にするのが断食療法の理論と教わり、単純に考えていた自分を反省した。

 体重は毎日約600グラム落ちていったが、やせている入所者も多いのは驚きだった。リウマチ、うつ病、アトピー性皮膚炎など病も様々。心身相関を良くする断食は肥満以外にも効果があるという。

 ただ、代謝が急変するため、不整脈や胃十二指腸潰瘍(かいよう)、脱水症状などが起こりやすくなる危険もある。入所時も心電図、血液検査など詳しい検診を受けたが、医学管理が厳重なのはそのためだ。運動や喫煙は厳禁。毎日2リットルの水分補給が課され、しょっちゅうトイレに駆け込んだ。断食は適切な指導の下で行いたい。(岩永直子)

(2009年11月18日 読売新聞)

断食してみた

(3)性格や生活 見つめ直す

 断食道場で、減量できたり、体調が良くなったりしたとしても、帰ったらどうなるのか。

 ダイエット目的に、記者が入門した兵庫県洲本市の「五色(ごしき)県民健康村健康道場」。道場長の笹田信五さん(61)は言う。「食べ過ぎ、飲み過ぎや心身の不調を招いたストレスを根本から解決しなければ、簡単にリバウンドします」



日に2回ある丹田呼吸法
の時間


 それでは困るので、この道場ではリバウンド対策として、性格分析と座禅で使う丹田呼吸法の講義も用意する。性格分析でストレスの原因を明らかにし、呼吸法で自律神経の働きを高めてストレス解消を図るという作戦だ。

 好きな仕事をしている自分にストレスがあるとは思えない。だが、深夜の帰宅後、寝付けずに、ワインや焼酎を飲みながら、おつまみもしっかり食べる習慣は続いている。

 入所前の宿題として全員が行う性格分析テストによると、私は好奇心は強いが、合理性に欠け、我が道を行くタイプ。講義では、ストレスの最大要因となる人間関係の問題が、互いの性格のどんなずれから生まれるのかが解説され、自身の問題を整理させられる。

 講義のもう一つの柱は、豊かな時代に増えた現代型ストレスの解説。中でも、「自分を生きたい自分」と「社会適応しようとする自分」が葛藤(かっとう)するというストレスには、思い当たる節があった。

 中堅世代となり、思い入れの強いテーマで仕事ができるようになっても、組織の中では自分の思いがすべて通るわけではない。私の頑固な性格はその葛 藤を余計強め、無意識に帰宅後の飲食で紛らわせていたのではないか。「この性格で新聞記者を続けたいならストレス解決は無理」と半分リバウンドを覚悟し た。

 食堂や講義で顔を合わせるうちに始まった入所者同士のおしゃべりも、自分を見つめ直す大切な時間だった。リウマチに悩む50代の女性は仕事のスト レスを、過食症の30代の女性は家族の介護に縛られた日々を打ち明けた。日常生活の役割を脱ぎ捨て、同じ過酷な状況下に置かれると、世代や立場を超えて悩 みをさらけ出しやすい。自助グループに似た不思議な連帯感がそこにはあった。(岩永直子)

(2009年11月19日 読売新聞)

断食してみた

(4)道場生活 最終的に2.6キロ減

 断食後、急に元の食事に戻すと、飢餓状態に合わせた体は対応できず体調を崩しかねない。

 断食と同じ日数をかけ、低塩分・低カロリーの回復食で徐々に元の状態に戻すことが必要だ。兵庫県洲本市の「五色(ごしき)県民健康村健康道場」に5泊6日滞在した私は、3日間断食し、4日目に1日800キロ・カロリー、5日目に1000キロ・カロリー、6日目に1200キロ・カロリーの回復食をとる日程を組んだ。

5日目の夕食。回復食は品数も多く、結構豪華

 断食中は、ものをかむ感触が猛烈に恋しかった。回復食第1号は、ロールパン1個、牛乳200cc、オレンジ半分、スライスチーズ半切れの朝食。い つもなら3口ほどで食べてしまうパンをちびちびちぎり、のど越しまで丁寧に味わった。野菜が多い昼・夕食は、かむ喜びが満腹感をもたらし、おかゆを半分残 すほどだった。

 気分が高揚する断食効果が表れたのは、回復食が始まる直前。食べ始めると消えてしまうかと心配したが、逆に強まっていった。道場長によると、回復食の段階でも私のように爽快(そうかい)感が高まる人もいる。うつ病と肥満で来ていた20代の女性は頭痛や吐き気や不快感が回復食の間も続き、心身の反応には個人差があるようだ。

 体重は回復食中も微減し、帰宅する6日目の朝、最終的に2・6キロ減となった。見た目が変わらず残念だったが、減り過ぎるのも体の維持機能が働いていないことになり問題という。脂肪の分解度を測る検尿結果も高い値を記録し、「順調な経過」と評価された。

 道場では、帰宅後も効果を持続するためにミニ断食を勧めている。週1日、1、2食断つ程度なら医学管理も回復食も必要ない。私も当初、毎週日曜日 に2食抜き、1か月後には4キロ減った。そのうち面倒になり、2か月後の今は少し戻ってマイナス3キロ。それでも毎晩必ず飲んでいたお酒を飲まない日がで き、バカ食い、バカ飲みもなくなった。

 費用は5泊6日で約9万7000円。かろうじてリバウンドしていないのは、断食効果なのか、無駄にしたくないという意地のせいなのかはわからない。ただ、知らぬうちに蓄積していた心のおりを取る効果は確実だ。(岩永直子)

(2009年11月21日 読売新聞)

 




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